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中南米でレストランをオープンさせたい人に。 [Argentina 2017]



 中南米で10年間、レストランのシェフとして、またレストラン専門のカメラマン&広告デザイナーとして数多くのレストランで働いてきた。
そして10年間に出逢った多くの日本人が"中南米でレストランでもしようと思うんですけど..."という例の言葉を聞いてきた。
もちろん、多くが日本でシェフは愚か、コックとしても働いたことがない。調理経験ゼロの人たちだ。
"料理にはちよっとだけ自信があるんですけど..."と謙遜される人たちも少なくはない。


 まず言っておくが、調理のプロか、アマチュアか、は料理の上手い下手ではない。
素人でも料理の上手い人、とっても美しく盛り付けの出来る人はたくさんいる。その辺のシェフよりずっと、わたしなんかよりずっと料理上手、盛り付けセンスのある素人の人たちはいくらでもいる。けれどプロではない、プロに向いてない人もいる。
素人とプロとの差は、料理の上手い下手だけではないということだ。
だったら??
 プロの資質というのは早くなきゃどうしようもない。お客さんを待たせる訳にはいかないのだ。
やってるうちに早くなるだろうと考えるなら、早くなる前に潰れる方に賭けた方がいい。

 プロというのは玉ねぎ、じゃが芋20kg、30kgをどれだけ素早く皮をむき、カットすることができるか、サラダ100人前を何分で準備できるかだと言っても過言ではない。もっと言えば、レストランの席数が50席あって、大半のお客さんがほぼ同時に来店して、次々と注文が舞い込んだ時に(どういう訳か、レストランではお客さんたちはいつも同時に来店し、満席になる宿命がある)、お客様を待たせずに、料理を前菜なら7分以内、メインなら15分以内にテーブル毎に(人数分一度に)冷めていない熱々の料理を提供できるかということだ。日本との常識の違いは、中南米ではひとつの料理をシェアしながらつまんで食べるという習慣はない。少しずつ出来たものからという日本式は一切通用しない。すべての料理をテーブル毎に同時に人数分を提供しなければならない。"或る料理は時間が掛かるので少し遅れます"というような言い訳は通用しない。料理をシェアしたりせずに、全員がみんな同時に食べ始めるというのが中南米の常識なのだ。
※正直、100人同時に来店しても、どんなに長くても30分が最大の持ち時間だ。それを越えるとお客さんは必ず怒りだす。満席で忙しいから...なんて理解してくれる人は少ない。

 だから40名の団体客が来たら、40人分のバラバラな料理を一度に全部一緒に提供しなければならない。モタモタしていたのでは不可能なのだ。
それに中南米では、誕生日など毎月のように、ファミリーで会食する機会が多いけれど、日本で言う冠婚葬祭レベルのファミリーが一般的な"ファミリー"の概念なので、ひとつのテーブルで20名なんてごく普通にあると考えた方がいい。
いきおい中南米のレストランではメニューは小さくなる。パスタならパスタのバリエーションは増やせるが、パスタもピザも肉料理も魚料理も、あれもこれもバリエーションを豊富に...というのは難しくなるという意味だ。もっとも8種類のパスタがトータル20人前オーダーが通って、それをきちんと提供できるレストランはそれほどない。そんな注文をしたらかなりいい加減なものが提供されると予想すべきだ。わはははははははははははは

 そんな訳で、単に料理が得意なだけでなく、とにかく何でも素早く手際よくできるタイプでないと困るってことだ。調理師免許なんぞどうでもいい。
さて、それがひとつ、だ。わはははははははははははははははは

 もちろん、プロの料理人を雇えばいい...みんなそう考える。ん!?
プロの料理人が欲しければ、日本から連れてくるしかない。中南米に日本人の求めるレベルのプロの料理人なんてほぼいない。教えればなんとかなるというもんではない。
 これが最大の問題なのだ。
だったら、他の中南米に星の数ほどあるレストランはどうしてるんだ!って?? わはは
中米ではおよそまともなレストランのシェフは外国人と決まっている。南米に入ると少し異なるがとは言え、かつてのヨーロッパからの移民の子孫だったりするケースもあるし、南米人がシェフを務めているレストランではメニューはとても小さいというか、ほとんど炭火焼きparrillaしかない。あとはペルー人たちがペルー料理や日本食もどきなどを提供しているか、だ。
※中南米ではフランス料理レストランはほとんど存在しない。あるのは炭焼き肉料理parrillaレストランに、海鮮料理レストラン、イタリアンが大半、それにスペイン、日本(寿司)、ペルー、あとは大抵の場合、レベルがグンと落ちて中華レストランとファーストフードクラスのメキシコレストランくらいだ。

 そもそも中南米料理では肉料理と言えば、先に挙げたparrillaと呼ばれる炭火焼きだ。それしかないと言っても過言ではないくらいだ。
魚料理は一匹丸々から揚げと決まっている。魚に切り目を入れて、フライヤーにぶち込んで、カリカリに揚げてしまうのだ。それしかない。
あとはスープ料理というべき煮物だが、もちろん、それらは調理済みだ。
 正直なところ、それが中南米料理のメインなのだ。ソースなんてない。ajiと呼ばれるピリ辛の酢が用意されているだけで、それがすべてだ。そこで働くシェフたちのうち、日本人がレストランをオープンさせる時に役に立つような人物はいない。よくある寿司レストランでシェフをしてました、日本料理が作れます、と言ってもそんなものお話にもならないと考えた方がいい。間違った料理を覚えていて、そこに捉われるだけだから寧ろ、勝手なことをされて邪魔になるだけだ。

 中南米にもたくさんの調理師学校がある。。。あるんだよ、実際。わはは
けれどまったく使い物にならない。そもそも調理師学校のレベルが極端に低い。。。中にはまともだと評判の調理師学校もある。けれどたかが知れている。日本の調理師学校とはまたレベルが段違いに異なる。もちろん、国によってもレベルは異なる。少しだけマシなのはペルーとチリのようだが、特別に期待するほどのものではない。アルゼンチンはダメダメ。エクアドルもダメダメ。コロンビアもダメダメだ。ボリビアは知らないが、期待できそうにない。わはは
中米はもうまったくどの国も全然ダメダメだ。どうしようもないレベルだ。
調理師学校には1年制と4年制があって、1年制は糞の役にも立たない。。。まったくだ。お料理教室みたいなもんで、レシピを教えて料理を作らせるだけ。そんなもん日本の花嫁教室の方がマシ。わはは
 4年制も大して中身は変わらない。一応、栄養学とか衛生学とかついてくるけど、あとはほとんど一緒。とにかく肝心の技術を教えない。技術なんて教える人がいない訳だからどうしようもない。もっとどうしようもないのが、4年制を出るとシェフになる!! えっ!? 何が!? シェフというのがタイトル(修了課程)なので、卒業したら、もうシェフなんです。わははははははははははははは
 これは面倒だ。日本だと調理師学校を出てもペイペイ扱い。調理師免許というどうでもいいようなものだけ貰えるが、間違っても次の日から"ボクはシェフです。"とは言わない。そこから下っ端からの修行の時代が始まる。。。
 ところが、中南米ではそうではない。学校を卒業した途端、彼らは"自分はシェフだ"と言い、シェフとしての仕事を探す。。。ある訳ないじゃないかと思うだろうが、そうでもない。彼らをちゃんとシェフとして採用するレストランがたくさんある。。。ひー。。。
中南米ではオーナーシェフは珍しい。ほとんどの場合、雇われシェフだから仕事がない訳じゃない。
 そんな訳で彼らを教育しようとすると、彼らの抵抗に逢う! わはははははははははは
プライドだけあって、ちゃんと学ばない。。。下積みなんて嫌がってしない。。。もういっちょ前のシェフ気取り。。使い物にならない。。。
どれくらい使い物にならないかと言うと、包丁の使い方も知らない。。。魚の下ろし方も知らない。。。きゅうりでも薄切りさせてみればいい。2-3mmのバラバラなものが出来るから。皮剥き器がなければニンジンの皮も剥けない。可能な限り細かくみじん切りにしろと言っても5mm角くらいのものしかできない。わはは
 また知らないもの、食べたことのないものに対する抵抗心が強くて、食べたことのないものを食べようとしない。しかも彼らは基本貧しい一般庶民なので、高級レストランなんて行ったこともない。一度もない。一度も高級レストランでまともな食事をしたことがないシェフだ。ひー。。。どうする!?
仕方ない、彼らの責任ではない。彼らの収入では高級レストランなんて行ける訳がない。金持ちは調理師学校なんて行かない。好きで趣味で調理師学校へ行ってもお金持ちは決してレストランなんかでは働かない。精々がシェフのタイトルを持つオーナーとして、偉そうに振舞うだけだ。わはは
そんなプロ??もどきしかいない。だから自分で料理するか、日本或いはヨーロッパからシェフを連れてくる??しかない。
米国人やカナダ人はやめといた方がいい。料理がダイナミック過ぎて(よく言って、だ)、異次元だから。わははははははははははははははは
もちろん、日本からということになるだろう。日本ならちゃんとした料亭で3年も働いていれば、もちろん、人によりけりだけれど、そこそこ使い物にならない訳ではないだろうから。それが一番いい。
けれど、問題はレシデンシア(居住権)だ。中米はそんなものなくてもなんとでもなるが、南米はそうはいかない。

 どうしたってレシデンシアが必要になる。
自分で事業をするために必要なレシデンシアとなると、現地の人と結婚するのが一番早くて安い??わはははは
次は投資家VISAというやつだが、多額の預金を現地の銀行に預けなければならない。VISAを返納するまでそれは一切引き出せない。
利息はついてくるが、万一、銀行が倒産した場合はチャラだ。わははははははははははは
金額は国によって異なる。
 他には学生VISAもあるが、受講が義務づけられていたりするからそういう制限はあるし、もちろん、入学金と授業料も支払わなければならない。しかも1年とか2年とかそういう期間限定だ。ずっと滞在するには学生VISAでは不可能だから、どうしたって先の2つだ。自分の分とシェフの分。。。なかなか大変だ。
これが2つめだ。いや、2つめと3つめか。 わははははははは
 ちゃんと株式企業にして就労VISAをと考えても無駄だ。外国人に就労VISAを与える為には、レストランとして2年間くらいの納税証明書と損益計算書が要求される。だから現地に法人登録してから2年以上経たないと、日本人シェフを招いて就労VISAを与えることはできないはずだ。
 ※追記: 南米でもチリとアルゼンチンならVISA取得も、長期滞在もなんとかなる。ブラジルは知らない。


 さらに日本の常識を捨ててもらわねばならない。


 たとえばレストランをオープンさせたら、ガードマンを雇わねばならない。わはは
多分、オープンして数週間以内に空き巣に入られる。或いはオープン直前に空き巣に入られる。。。TVやパソコンやそういうものを盗みに入る訳だ。証拠はないが、工事業者たちが情報を流している可能性が高い。見事なくらいやられる。わはははは
そしてオープン後、幸いにもレストランが流行れば、帰りを気をつけた方がいい。お店を出た途端なんてのもよくあるし、帰り道を待ち伏せされたりもする。営業中のレストランにピストル強盗が来てお客さんの金品ともどもなんてこともよくある。なんにせよ、ガードマンを雇うしかない。雇ったところでやられる時はやられるがそれでも雇わなければ確実にやられる。

 残念なことに従業員を信用できない。長年真面目に働いてくれて信用できると思った瞬間に裏切られたりする。従業員を信用できないのでレジは自分でするか、コンピューターにするか、さらに会計伝票とキッチンオーダー票、レジを突き合わせないといけない。さらには在庫だ。。。哀しいかな、倉庫や冷蔵庫、冷凍庫のモノ、それどころか備品までなくなる。。。フォーク、ナイフや牛肉、豚肉、お米や色んなものがどんどんなくなる。だから監視カメラも必要になってくる。もうどうしようもない。盗み食いも、だ。ジュースや色んなものが足らなくなる。一人がやれば他の従業員もやる。一人見逃せば全員がやる。
 従業員のカバンの持ち物チェックも必要だったりする。ガードマンにチェックさせる訳だ。そんなこと...なんて言ってられない。5年、10年働いてもやる時はやる。お酒の盗み呑みもある。営業中に酔っぱらう奴が出てくる。知り合いにも酔っぱらって首になったシェフがいるからお笑いだ。
だからガードマンに監視カメラという投資が必要になる。そして伝票、在庫チェックという仕事も、だ。伝票は通し番号が必要になる。ついでにチップ隠しも出てくる。貰ったチップを自分だけのものにするという輩だ。従業員同士の争いのもとになる。

 ややこしいのはコックたちの中にはわざと量を多く調理したりして食べようとする奴がいることだ。
味見はもちろん必要だがそうではなく、ただお腹が空いたから、オーダーを間違えて自分用にしたり、持ち帰り用にしたりする。だからオーダーミスも安易に容認してられないケースがある。それにお皿や備品を次々に割ってくれる。仕方がないものもある。けれどテフロンのフライパンなんぞ3日めには傷が入っているし、お皿やワイングラスを次々に割られた日には目も当てられない。シリコンのへらはすぐに溶けてなくなる。わははははははははははは
そして決して自己申告しない。。。誰もが知らないと言う。全員が知らないと言う。だから監視カメラはその為にも必要になる。


 さて、これが4つめだとしよう。わははははははははははははははははははははははは


 いよいよ最後5つめだ。
テーマはコックたちだ。壮大なテーマだ。わはははははははははは
どうやって教えるか。。。10年彼らと働いてきても正解はない。残念だがほとんどの連中は使い物にならない。
簡単な料理をメニューにするしかない。単純な作業をしつこくチェックして専念させる他ない。。。そんなことでレストランがちゃんと回るなら、だが。わはは
いくつも問題点がある。

1)偏食と未知の食べ物に対する抵抗。。。
 ひとつは偏食だ。あれが嫌い、これが嫌いがとてつもなく多い。元偏食児童のわたしが言うのだから間違いない。とんでもない偏食だ。
日本と違って、偏食は悪ではない。だから彼らは子供の頃から嫌いなモノを食べるように強制された記憶がない。嫌いなモノを食べる必要なんぞどこにもない。お寿司を一切食べないと断言する寿司シェフの多いこと! わはははははははははははははははは
もうホントに信じられないがそういうことだ。とにかく食べないことに罪悪感がない。
 もちろん、食べたことのないものを平気で作る。。。貧しい一般庶民の出である彼らは色んなモノを食べた経験がない。そして知らないモノを食べることに対する抵抗がとても強い。食べないから違いが分からない。。。
 或いはなんでも食べる奴がいる。こいつもまた使い物にならない。とにかく食べる。味わうという概念はない。お腹をいっぱいにすることにしか興味がない。所謂、味音痴だ。試食だと言っても、呑み込むように食べるから感想なんて出て来ない。わははははははははははははははは
彼が"美味しい"と言っても、なんの信用もできない。味なんて分かっちゃいないのだから。そして一日中、なぜか口がもごもご動いてる。あるゆるものをつまみ食いしてる。わはは

2)食感という概念の不在。。。
 日本では"食感"という言葉をよく使う。だが中南米ではそんな言葉は食べ物には使わない。texturaと言えば意味は通じる。けれどそういう感覚を食べ物を味わう感覚に持ち合わせていない。ついでに言っておくと、中南米のすべての国で彼らはすぐに"そうだよね"、"その通りだ"、"もちろんだとも"というような同意の言葉を口にするけれど、その言葉には意味はない。本当に無意味なのだ。ただの相槌だが、もう日本語的には"へえー"くらいで翻訳した方がいい。まったく彼らに"その通りだ"という中身はない。わはははははははははははははははははは
 彼らに色んなことを説明する度に、彼らの口から"そりゃ当然だ"とばかりに色んなセリフが飛び出すが、まったく意味はないから、"ああ、分かってくれたんだ"みたいに勘違いしないことだ。なんにも分かっちゃいないから。ただ"へぇー"って言ってるだけだから。。。
さて、食感だが、その所為で彼らにとっては"柔らかい"が最上級になる。柔らかければ良いのだ。硬いのはダメ。その中間もダメ。ただ柔らかさだけが食感の中で美味しさとして認められる。だから歯ごたえやプルンとした食感、むにゅとした食感、ふわっとした食感なんてどんなに言葉を尽くして説明しても彼らの心には届かない。彼らは食べ物は柔らかければ美味しいと感じるのだ。だから生のサラダでもニンジンなどはどうしてもすぐに茹でようとする。それもフニャフニャになるまでだ。パスタのアルディエンテがどうしても伝わらないのもそこにある。柔らかいのが好きだからどうしようもない。たとえアルディエンテに茹でることが出来たとしたも、アルディエンテの美味しさは理解しない。歯ごたえがいいなんて決して感じない。わはははははははははははは

3)レシピばかりで技術という概念がない。。。
 とにかく調理を教えようと思っても、彼らの関心はレシピにしかない。
なんでもかんでもレシピだけ知ろうとするし、レシピだけで満足する。。。できやしないのに。
まったく同じレシピでも、彼らが作ったのと、わたしが作った料理、そしてミシュランの3つ星シェフが作った料理ではまったく別物だということが理解できないのか、想像できないのだ。口を酸っぱくして一番大切なのはプロセスだと言っても、そこにある技術(テクニック)には目も向けない。そんなことは些細なことなんだろう。些細なこと(細部にこそ)テクニックがあるのだと口を酸っぱくして言ってみたところで理解する奴はほとんどいない。もちろん"そりゃそうだ、その通り"という例の返事だけは貰えるが。わはははははは
 材料ばかり気になって、食材をどんな風に扱って、どんな風に切るかなんて気にならない。なんでも説明して欲しがる癖にすぐに"ああ、分かった"と言って最後までちゃんと集中してることがないから使い物にならない。

4)保存期間や調理時間の目安にこだわる。。。
 そんな訳で、技術を学ばない彼らと来たら、すぐに"それは何分で調理できる、火が通る"と訊いてくる。。。そんなもの例えば肉なら同じグラム数でも薄かったり、分厚かったりすれば異なるし、気温や水温に依っても異なったりする。だが彼らは時間にこだわる。。。それはちゃんと料理を見てないからだ。どれくらい火が通ったかを分かるのがプロだ。それは視覚だったり、触感だったり...経験というやつだ。揚げ物なら油の温度が5度違えばまったく異なる。けれど料理をずっとちゃんと見てないのでそんなもの分かりっこない。フライヤーで1人前の天ぷらを揚げるのと同じように、4人前の天ぷらを一度に放り込んでしまうような愚行を平気でする。違いが想像できないのだ。
 保存期間もすぐに"何日もつ?何週間もつ?"と訊いてくる。そんなもの状況に寄りけりだ。細菌が付着していれば、あっという間だし、完全滅菌されていてきちんと真空パックされていれば長くもつし、タッパーウェアに保存しても、冷蔵庫を開けたり閉めたりすれば、その度に傷む速度は早くなる。温かいうちにタッパーウェアを閉めたのと、完全に冷めてから閉めたのではまったく違う。とにかく食材を見て、食材に訊いてみないと分からないということが理解できない。
そして彼らはすぐに臭う。。。それはいいんだが、もともとの臭いを理解してないから魚なんて先入観で捨てられる。新鮮な時に臭ったこともない癖に傷んだという先入観で臭ってみたらどうなる??傷んでいるかも知れないと思ったら、絶対に味見してみようとは思わない。極端に恐れている。なにを??(笑)だから本当に傷んでいるかどうかなんて分かりっこない。
 そんなこんなで食べ物を捨てる。。。どういう訳か貧しい育ちにも関わらず、彼らはすぐに食べ物を捨てる。少し残ったご飯なんて捨てて当然だ。ちょっと鶏肉や牛肉が古いと判断すると捨てる(その判断基準が信じられないのだ。ただ5日前のモノだから捨てる、みたいな。)。。。自分たちの賄い用に調理したものが残ったら明日も食べれるはずなのに保存したりせずに捨てる。さっぱり分からないがとにかく食材を捨てる。。。。調理したものをラップもせずに冷蔵庫にしまって放っておいて、ダメになったと捨てる。いろんな食材を古いから、傷んでいるっぽいからと、どんどん捨てる。かと思えば、すでに臭っている肉類をそれしかないからとお客さんに提供しようとしたりする。自分が食べないようなものを平気でお客さんに提供しようとする。もうそこには論理とかない。気分という他ない。だから食材を捨てる前には必ずチェックするルール作りが必要になる。

5)味見しない。。。
 自分が好きな料理に関して言えば、出来上がった料理はつまみ食いしたがる癖に、それでも調理途中で味見する習慣がない。上にも書いたように、味見と食事の区別がない。例えばコロッケでも、ギョーザでも、或いは煮物でも、完成させる前に味見するタイミングはある。けれど味見しない。レシピ任せだから味見しない。ちゃんと毎回、味見しないからいつまで経っても味を覚えない。レシピ以上に味を覚えることが大切なのに...言ってみれば、彼らにとって料理は"美味しい"か"マズいか"しかない。そういう訳で"マズくなければOK"となる。。。どうしようもない。毎朝ちゃんとソース類の味見をしないから提供する段になってソースが傷んでるなんて気づくケースも多い。

6)測らない。量らない。。。
 どうにも矛盾するのだが、レシピばかり気にする癖に計らない。。。目分量だ。口を酸っぱくして言っても見てないところでは計らない。計量カップを使っていてもちゃんと見てない。適当。。。目分量の癖に上に書いたように味見しないから(したところで美味しいかマズいかしたないから)、時々とんでもないものが出来上がる。運任せと思った方がいい。きちんと量れと言って、200gの肉を切らせたら、二切れで200gとかいう結果になってる。それじゃダメなんだと言うしかないが、"そんなことできない"で終わる。そもそも塊を量らずに切った部位だけを量るからいつまで経ってもうまくならない。そう教えても最初しかやらない。ひー。。。

7)フライパンを熱しない。火加減を操らない。。。
 そもそもフライパンをちゃんと加熱することができない。冷たいフライパンに油と食材をほぼ同時に入れてしまう。或いは240度くらいなカンカンになったフライパンに油と食材を一緒に放り込む。。。さらには調理中に火加減を弄ることはない!! 常に強火だ。もう鍋やフライパンの周囲に火が見える。弱火にしろと言っても彼らの弱火はコンロの目盛りの弱火なので、まったくもって日本人の弱火ではない。中火程度だ。
教えても、教えても、"忙しかったから無理だった"という返事が返ってくるだろう。

8)フライパンを意味なく揺する、或いは放置する。。。
 ちょっと細かいが、この際だし重要なので別項目とする。彼らの仕事ぶりを見ていると二通りだ。ひとつは鶏肉でもなんでもフライパンに入れたらもうそのまんま放っておく。角切りの鶏肉が山になっていても、くっついていても平気だ。もうひとつはとにかく揺する。もう調理している気分という他ない。少し焦げ目が必要でも関係なく常時揺すろうとする。これ見よがしにフライパンをコンロから高くあげて何度も何度もフライ返ししても一向に火は通らない。。。或いはコンロに打ち付けながらカンカンと音を出してフライパンを揺すってみせて仕事してますよ感に酔っている?? わはははは
フライパンの中身が魚でも、ギョーザでも揺すろうとする。もうぐちゃぐちゃになるが、フライパンの中を見てない。そもそもフライパンを揺すったり、動かさずに様子を見たりすることに意味を持たせてやっていないし、フライパンの中身を注意深く見ていないからどうしようもない。

9)水に漬けて解凍。。。
 ともかく冷凍庫から出したものを解凍するのに、水に漬ける。。。鶏肉、魚、えび、なんでもござれだ。そして放置する。。。
当然すべてのものは水を吸い込む。。。バカなっ!? ラップしてあっても、ビニール袋の口を括ってあっても無駄だということは言うまでもない。どういう訳か牛肉だけは水に漬けるのはあまり見ないが(皆無ではない)、多分、血が滲んだりするのが見えるからだと思われる。それだけの理由??わはは
どんなに口酸っぱく言ってもこれも無駄。。。どうしても水に漬けたがる。あらゆるものがどうしようもなくなる。。。しかも半解凍で取り出したりしてくれない。放置だ。完全に解凍されるまで、或いは解凍されたあとも放置だ。もちろん、味は落ちるし、腐敗も進む。

10)料理に関係のないデコレーション。。。
 最近はSNSやインスタグラムというやつの所為で、あれこれとお皿にソースでデコレーションしたがる。悪い訳ではないが、そもそも汚い。ソースできちんと線を引けない、曲線を描けないのに、ソースでデコレーションしたがるから、仕上がりは無残なものになる。汚いだけだが、彼らは満足気だ。
さらに料理に関係のない=料理に合わないソースでも平気で使う。料理に添えるソースは料理と合うものでなければならないという当たり前のことを理解しようとしない。色合いだけだから、ジャム系が多用される。どんな料理でもジャム系のソースを飾りたがる。言っても効かないよ、多分。本人が凄くいいと思い込んでいるから。。。わたしがソースの飾りを多用しないのは、彼らには出来ないと知っているからだが、連中はわたしの見てないところでソースを汚く飾って悦に入っている。わはは

11)価格に比例しない仕事ぶり。。。
 彼らは一般庶民だ。中南米で言う一般庶民は貧しい。。。先に書いたように高級レストランで食事をした経験がない。自分が働いているレストランでは味見をしたり、つまみ食いをしたりするけれど、彼らには中級レストランの料理ですら高い。
だから例えば、彼らは5ドルのスパゲティと10ドルのスパゲティと30ドル、50ドルの同じスパゲティの違いが分からない。分かろうとしない。だから自分の働いているレストランの一皿の価格にそもそも興味がない。10ドルでスパゲティを売っているレストランでの仕事ぶりと、同じスパゲティを30ドルで売っているレストランでの仕事ぶりはまったく変わらない。。。多少素材が違うか、レストランの雰囲気代だと考えている節がある。10ドルのスパゲティと30ドルのそれを同じように調理して、同じように皿にのせて提供する訳にはいかないということに気づかないか、興味がない。5ドルのスパゲティなら、"まあまあ"でもいい。10ドルなら"美味しくないとダメ"だ。30ドルならできる限り完璧なものを提供しなければならないし、一皿50ドルのスパゲティなら??という奴だ。
だが自分には関係ないとばかりに、どのレベルのレストランでも同じように調理して、同じように提供しようとする。
 料理の価格に見合った集中力とこだわりを見せなければならないという点に気づかない。

12)自己評価が高いのですぐに出来栄えに満足する。。。
 ラテンアメリカ最大の問題はこれだ。いろんな問題があるけれど、ともかく自己満足、自己評価が高い。自己評価が高い所為で成長しない。もう自分の料理に大満足なので、明日も、あさっても、来年もまったく進歩しない。寧ろ手を抜き始める節すらある。
日本人のように、まだダメだ、まだまだだ...なんてこれっぽっちも感じてはくれない。寿司なんて一回教えたら、もう自分は完璧なつもりだ。そんな奴にいったい何を期待できるだろう??わはははははは

13)覚えたら辞めてゆく。。。
 最後は(多分、そろそろ最後なはずだ。笑)、どこの国でも、日本でも同じ悩みだろう。もっと極端なだけだ。
仕事をちょっと覚えたら辞めてゆく。。。給料が月に50ドル上がるならさっさと辞める。さらにもう自分は一人前のシェフだと勘違いしているので、シェフとして働きたいと考える。寿司を覚えて1ヶ月もすれば、もうどこかのレストランで寿司シェフとして働こう(稼ごう)と考える。
仁義なんぞない。わはは
 もちろん、それは彼らの自由であり、権利だが、経営者としてはいろいろ言いたいこともあるだろう。
調理師学校代りに働くなら月謝を払えという気持ちになることもない訳じゃない。わはははははははははははははははは





 さて、そんな訳で、中南米でレストランでも...とお考えになる方は以上の問題と向き合うことになる。わはははははははははははは
わたしは絶対にご免だ。だから金輪際、わたしは自分で経営しようとは思わない。雇われシェフでいい。
 どうしたって自分が厨房に入るしかないが、そうしたらホールはどうなる??
どの程度料理をするかは別にしても、オープンキッチンで調理場をチェックしながら、レジも見て、接客サーヴィスもチェックするのか??帰宅して帳簿つけて、仕入れして。。。
色んな事を考え合わせると、どうしたって家族の手助けが必要になるだろう。そう考えると現地人と結婚してVISAを取るという手段が現実的には一番なんだろうな。でも子供が出来たら出来たで大変です。わはは

 おまけ。。。日本風の食器は手に入らないと思え。
お皿は白皿だけだ。日本風の食器はアルゼンチンを除いて、どこの国でも入手できない。プラスチックの味噌汁の椀と寿司用の平皿、それとお寿司の船盛用まで、だ。中国製の食器はほとんどの場合、やはり使えない。どんぶりも中国製の中華柄のプラスチック製ならあっても、あとは小ぶりの白のセラミックだけだ。本格的にやるならどうしたって色んなモノを日本から持ち込むしかない。


 この文章をすべての、"中南米でレストランでもやってみよう"とお考えになる人々に捧げる。わはははははははははははははははははは


※最後にもうひとつ。。。
多分、水質や子供時代からの食べ物の所為だと思われるが、中南米にはとにかく下痢症の人たちが多い。本当に驚くほどみんな胃腸に問題を抱えていると言う。
困った話だ。。。考えてもみてくれ。寿司職人が年中下痢だったら??
もちろん、毎回きちんと手は洗わせるし、わたしなんかは寿司場には絶対にアルコール消毒スプレーを常備させるけれど、それでも年中下痢症の奴が寿司場に立つなんて、危険この上ない。寿司場のコックを採用される時は必ずその点を質問した方がいい。万が一が起こってからでは遅い。
 今はラーメンブームだけれど、生麺だって菌の繁殖は凄そうだし、麺の茹で時間程度ではすべての菌は死滅しない。




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