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分裂を推し進める多数決主義。 [Argentina 2017]

またしても、だ! 


多数決という手段が社会の分断を推し進めている。。。。


事はイギリスのEU離脱が最初だった。。。過半数が反対しているにも関わらず、賛成派が51%を獲得してEU離脱を決めた。
普通の人々が投票に赴かず、急進派とでも言うべきか、変化を求める人々が積極的に選挙に赴いた結果が選挙結果を逆転させた。
そして薄氷の勝利、すなわち半数の反対票にも関わらず、多数決で決定されるというプロセスの危うさが露呈した。
その時、わたしはこう書いた。
"勝者と敗者の配分が半々であるならば、それは多数決決定されるべきではなく、議論と再投票をこそ求められているのだ"と。


そして次にコロンビア内戦のFARC停戦和解案の国民投票がまったく同じ構図となった。
大半の人々が和解停戦を歓迎していたにも関わらず、実際に投票に赴いたのは反対派の人々だった。
反対派が51%で勝利するというまさにイギリスでの投票と同じ構図が再現された。


さらに米国大統領選挙がこれに続いた。
選挙人投票では大差がついたが、実際の国民投票数では逆転の結果が出ていたという、過半数のせめぎ合いだった訳だ。
ここでも勝ったトランプ派こそ驚いたはずだ。クリントンの不人気はあったが、それでも大半の人々はトランプの勝利なんてあり得ないとタカを括っていた。
自分が好きでもないクリントンに投票しなくても、トランプが当選することはないだろうというその結果が地滑り的なトランプの勝利を呼び込んだのだ。


さらに、トルコでエルドアン大統領の憲法改正による権限強化が国民投票で可決された。
投票率は現時点で賛成51.37%、反対48.63%となっている。。。
エルドアンに対する国際社会の風当たりは強く、独裁政権の誕生かと伝えられているが、改正憲法の中身は首相制(象徴的大統領)から大統領制(米国大統領制に近いもの)への移管のようなもので、それだけでは直ちにエルドアン独裁とは言えない。エルドアンについてはここでは本論ではないが、主義主張の強いタイプではなく、場面場面で判断している節がある。それが故に議会政党政治を嫌ってより強い権限を求めたと言えそうだ。(決して彼の肩を持っている訳ではない。ただ西側メディアはイスラームに関してあまりに安易なレッテルを貼り過ぎるのを牽制しているだけだ。)


次はフランスだ。。。いよいよ明日にフランス大統領選が迫っている。4候補の接戦が伝えられているので(選挙前の報道がまったく当てにならないことは上の4つの例すべてで証明されつつあるが)、第一回投票で過半数を占める候補者はいないと思われる。けれどここで誰と誰が勝ち残るかで決選投票の様相はガラリと変わってくる。。。



さて、ともかくも上の事案はそれぞれを見てゆくと、もちろん色んな違いがある。けれどここでもっとも重要で、4つに共通することは過半数という多数決の有効性が問われるという点だ。
ここで言いたいのは、投票結果で勝利したのがいずれであったかの問題ではなく、51%:49%(53%:47%でも同じだ)という半数が反対している投票結果を多数決的原理で有効とするのが正しいのかどうかという問題だ。


多数決というのは文字通りなら、多数派が勝利することだ。
だが10000人の投票結果が、5001名vs4999名だった場合、それを多数派と呼べるのか、多数派と認め得るのかという問題だ。
民主主義=多数決原理ではない、と何度も書いてきたが、少なくとも(百歩譲って)民主主義政体が多数決原理を採用せざるを得ないとしても、それは民意を大切にする為であることは論を待たない。民主主義は民意を大切にするという大義名分で多数決原理を導入しているのだ。
だとすれば、反対の民意が半数もあるにも関わらず、僅差で決定するのは、やはりその大義名分からしても外れている。
半数の人々が反対しているものを意思決定してしまうのは、半数の民意を無視している。
だからそんなものは多数決の原理からして有効性を認めてはならないというのがわたしの考えだ。
これについては最初の例、イギリスのEU離脱決定当時に書いた。
http://antaios-latino.blog.so-net.ne.jp/2016-06-28
まったく同じ繰り返しにしかならないので省略するが、そういうことだ。



そして続く3例もまた同じシチュエーションにある。
フランスでの投票結果はまだ分からないけれど、第一回投票の結果次第では、決選投票で同じようなことが起こるかも知れない。
 実は不正が行われた為に真相は闇の中だけれど、先日のエクアドル大統領選挙も同じように僅差(半々)だった可能性がある。(※エクアドル大統領選挙は第1回投票で勝利するためには、最低40%以上の有効票と2位の候補者に10%の差をつけなければならない。或いは過半数の50%以上でも確定という条件づけがされているのだけれど、もちろん不正の前にはそんな効力はなし崩しに終わってしまった。)


改めて言うが、どちらの陣営が勝利したかという問題ではなく、問題は僅差の賛否半々という状況を多数決で有効とすることが正しいのかどうかという一点だ。


賛否が半々である状態で物事を多数決決定してしまうと、半数の反対派が取り残される訳で、分裂をしか齎さない。
だからすべての国々で、半々(僅差)という多数決結果は無効であるとあらかじめ決定されなければならない。

投票は過半数と共に(あるいはではなく、且つという条件)、投票比において10%以上の開きがあることを必須とするような条件設定が各国で批准されなければならない。
それに合致しなければ、投票は無効とされ、議論の期間をおいて、再度投票は繰り返されるばならない。


何度、再投票を繰り返すのかという点については当然、考えられなければならない現実があるだろう。
各国がそれぞれの国民の選択としてそこを検討し、決定するしかない。
けれど、原則としてはそういうことだ。


一度めの無効となった投票ののちは、改めて本気で議論が繰り広げられなければならない。
無関心だった層が関心を持てるような議論も必要だけれど、それ以上に一回目の投票結果を踏まえてのより現実的な問題点が提起されなければならない。


迫るフランス大統領選挙も第一回の投票結果次第では、決選投票で51対49という同じような形が繰り返されるかも知れないし、イラン大統領選挙、そして当然、日本国内における選挙・投票においても、いつ同じような状況が発生してもおかしくはない。


多数決に於いて、51対49は無効であるという提言が今すぐなされなければならない。



ちなみに、事の発端となった...というと語弊があるが、国民投票でのEU離脱支持を決定したイギリスでは、3月29日にEU離脱を正式に通告したばかりなのに3週間後には、メイ首相が"国民にEU離脱の信意を問う"と解散総選挙に打って出た。そうは言われても、正式通告後は、もはや取り消しもできず後戻りはできない訳で、巷では保守党が経済の好調を背景に圧勝するなどと言われているが、怪しいものだ。選ぶのは英国民だが、反論を封じ込めることができるのか?それとも改めて分裂を確認するだけに終わるのか??というのは実際フランスの投票結果に掛かっていると言っていい。
フランス大統領選でもしもルペンが勝ち、EU離脱が濃厚になれば、もはやEUそのものが消滅の危機に面してしまう。
だが一方で、英国保守党が議席をひとつでも減らしたら?と考えると、やはりわたしには難題を前に投げ出したがっているように見える。。。





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