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トランプの末路は... [Argentina 2017]

前代未聞の米国大統領トランプ狂騒曲が一向に和音を奏でない。
序曲のファンファーレは高々に不協和音を奏でたが、それでもそのうちにありがちな手垢に塗れたメロディにでも落ち着くのかと思われたが、その後も決してアヴァンガルドでもない滑稽な不協和音を奏で続けている。もはやオーケストラは演奏を停止するのではないかと思えるほどだ。

 娘婿に引き続き、今度は正式に娘を政権に迎え入れた。。。
もはや家族にしか頼れないのか、家族の言うことしか聞き入れないのか、いや、その両方が相まって、各省長官がその執り成しを最後の砦としてトランプ氏の家族贔屓に託したのかも知れない。。。


 おかしなところがない訳でもない記事なので全文は引用しないから読んでみて頂きたいが、もはやトランプの素人運営ぶりは誰の目にも明らかで、国際社会は表面上はともかくも、もうトランプを相手にする気はないと言っていいだろう。すなわち"トランプ相手に喧嘩する"気もないという訳だ。
そんな中で、イギリスのメイ首相と安倍晋三だけがトランプ狂騒曲で踊ろうと奮闘しているが、まともな国民の顰蹙を買うばかりだ。もっともまともな国民というのが多数派であることは珍しいのだけれど。

 取り敢えず、上の記事について注釈しておくと、NATOというのはそもそも米国のモノではない。各国代表の条約機構であり、米国の影響力が如何に大きいとは言え、米国政府の直指揮権にある訳ではない。だからそもそも米国大統領がNATOに成り代わって、ドイツ首相に対して、負債の取り立てを迫るような権限は一切ない。それすらも理解していないトランプに対して国防相のマティスも、赤面モノだった訳だ。
 記者の文章もその辺が曖昧だが、確かにNATO機構軍の司令官は米国人だが、NATOの最高責任者(事務総長)は創設以来ずっとヨーロッパ人であると決まっている。さらに冷戦時代はついに一度も軍を動かさなかったNATOが近年になって軍を実践配備しているのは、9.11テロ以降の米国の動きと無関係ではない。そもそもNATOが初めて軍としての実践活動をしたのは、セルビア空爆だ。それも米国が強く望んだことだった。
その後のアフガン侵攻に至っては、NATOは空爆には不参加を貫いたにも関わらず、その後、アフガンの紛争平定に米国が疲弊したことから肩代わりを求められて参加している。米国の強い要望なしにNATOが動いたのはリビア空爆だけだが、それもこれもセルビア~アフガン~イラクという前例がなければあり得ないことだった。そう考えれば、リビアは米国の利害ばかりではなく、一度くらい自分たちの利害を為に軍事力を行使してみたい...と彼らが考えた末の行動と言えなくもない。
 トランプは"負債"と表現したが、もちろん実際に"負債"がある訳ではない。各国の支出目標値として2%が定められているが、それは目標値であって、各年の予算は供給された額によって(事前すり合わせもあるだろう)成立しているので、平時に大きな赤字負債が生じることはほとんどないだろう。寧ろ、赤字は戦時予算や緊急事態の動向によって生じると考えられる。そうなると軍隊を動かすことを強く要望する米国が戦時負担の相当分を引き受けるのは当然のことだし、そうでなければヨーロッパ各国はNATO軍の活動にOKを出さないだろうからだ。
 そういう様々なことを考え合わせるとトランプの言うドイツの"過去の負債"などというものはそもそも概念として存在しない。マティスはそれを指摘しているのだが、記者の文章はとても曖昧で正確に伝わっているとは言えない。トランプとしては、仮にNATO予算について発言するとしても、"ドイツは直ちに2%の支出目標を達成すべきだ"と言うことは出来ても、存在もしない過去の負債を請求書の形で手渡すなどということは越権行為でもあるし、バカげた喧嘩を売るに等しい行為だ。
 だからこの文章はあちこちの文章の引用、寄せ集めに終わっているとしか言いようがないけれど、それを踏まえても、何も知らないで、何も調べようとしないで、文章を理解することすらできないで、こういうニュースに乗っかって、トランプ批判にせよ、ドイツ批判にせよ、日本の対北朝鮮問題に絡みつけようとするコメントにせよ、ネット上でコメントしている連中は本当に浅はかで愚かだとしか言いようがない。どうして何も知らないことを少しばかりも調べもしないでコメントしたりすることが出来るのだろう?? 知らないこと自体は別に問題ではない。だが自分の意見を書き込む前に、どうしてちゃんと文章を読み直したり、ちょっと調べてみたり、といったことさえ出来ないのだろう。このバカどもには本当に反吐が出る思いだ。
小学生レベルの知能しか持たない所謂、"立派な社会人たち"が大勢存在するという事実はもう絶望的な事態でしかない。


 さて、トランプのことに戻ろう。。。この前代未聞の米国大統領についてだ。
米国の世界に及ぼす影響力は計り知れない。そんな国の代表に米国民によって(選挙方法によって)選ばれてしまったのがトランプだ。
この素人大統領は、本当に政治的な知識というか、政治的なことにほとんど関心がないままに生きてきたと考えられる。ビジネスとその儲けの使い道だけが彼の人生の大半ー占めてきたはずだ。だがどういう訳か、有名になり過ぎた挙句、そして政治家たちとの(個人的な)面識が増え、自分の発言がメディアに取り上げられるに連れて、この男はひょっとしたら自分も大統領になれるんじゃないか、大統領になって世間を見返したいと思うようになったのだろう。
彼が選んだ人選、彼がプロと見做した人選は、ただ単にその分野を職業としてきたやはり素人ビジネスマン(軍人であれ、だ)に過ぎない。政治家ではないということだ。
それは...じゃあ、政治家ってなんだってことにも繋がる。。。
政治家になる前からの政治家なんてごく少数の例外的マニアを除いて居やしない(そんな人物は政治評論家になっても、実際に政治家になんてなれやしないのかも知れない)。大統領になる人物が何もかも知っているとか、天才的であるとか、そんなことは誰一人当てはまらないだろう(期待できる最大値は精々が清廉潔白であることくらいだろう)。けれど政治家というのは、少なくとも国内政治や国際関係についてたとえ限られた分野であれ、何某かの感心を持っていた上で(それが間違った知見であろうと、だ)、当選後は政府機関で働く専門家たちの意見を聞いて、情報を集約し、時に素直に従い、時に自分で判断しつつも、折り合いと妥協点を探って、国家や経済界、国民の間のそれぞれの立場の人々が理解し、納得できる(満足させるべく)或る方針を決断しなければならない(自身の派閥である民主党員、共和党員の意見に偏りが出たとしても、だ)。そういう意味では素人であってもいいのだろう、誰ひとりとして大統領になれる資格だとか、そういう資質を完璧に備えた人物なんて存在しないと考えるべきだろうから。。。けれど、そういう専門家たちから市政の庶民、経済界の重鎮から労働者までの意見を集約して、さまざまな情報を自ら求めて集約させて、ブレーンとなる専門家たちの意見を闘わせて(そもそも優秀なブレーンを募って)、最終的にサインをするのが大統領職というものだろう。決して自分の考えを押しつける権力の実態ではないはずだし、そうであってはいけない。
 けれどこの男のしていることは、まさにそれなのだ。周囲の意見に耳を貸さず、周囲に自分のイエスマンばかりを置きたがり、挙句に周囲を家族で固めて、自分の至らない思いつきを実行してみたい、実行するのが大統領だという間違った野望に突き動かされているのだ。



 正直、いまだにこの男が4年間をまっとうする姿が想像できない。
共和党の内部にも、やはり彼に任せるべきではなかったという意見(もともとの反トランプ陣営だけでも相当なものだ)が多いけれど、それだけでは彼を罷免、弾劾するだけの材料にはならない。なにかしら事件が、憲法違反や個人的違憲行為が露呈しないことには、ただやり方が間違っている、こんなやつに任せておけないというだけでは、彼を大統領の職から引き下ろすことは出来やしない。

現在、世界は彼に振り回されているが、それでも彼のおかげで、多少とも米国の世界に対する影響力が今後に渡って低下することになるなら。それ自体は歓迎されるべきだ。彼のおかげで米国大統領の世界的権威もまた地に堕ちつつある。それと共に、米国民がもう2度とこのような男を選ばないことを学ぶなら、彼が決定的な一手を打って世界に打撃を与える前に、早急にこの舞台から姿を消すならば、それもまた歓迎すべきことだ。

けれど、まだまだ不安は続く。
特に対パレスチナ、対イスラエル関係だ。
この男は、大統領になったら、エルサレムをイスラエルの首都として認めるという発言をしていたが、今のところ、その公約を果たす気配はない。さすがに周囲から止められているのか、優先事項で躓き、そこまで至らないだけなのか分からないけれど、オバマ・ケアの代替え案すら通らず、壁の建設すら持ち越しになった今、ヤケになって、そんな大統領令にサインすることがないように願うばかりだ。
イスラエル政府はトランプのその一言を待ちわびている。。。そしてパレスチナはその発言に対する抵抗の狼煙の準備をすでに整えている。一旦、口火を切ってしまえば、もはやトランプの辞任くらいでは歴史は後戻りはしないのだ。取り消せない、取返しのつかない出来事というものが世界にはたくさんある。

これだけ次々と覆されれば、もはやトランプの大統領令は議会によっても軽視され始めるだろう。議会も、州も、市民もまた大統領令及びトランプの施策そのものを軽視し始めた。。。壁の建設の延期はまさにその骨頂だろう。もちろん、予算案を期日までに通すことが最優先された訳だが、同時にトランプの治世がいつまで続くか疑問符がつくのに、巨大な壁の建設に取り掛かるのは時期尚早だと大方が判断し始めたと考えるべきだ。あとはトランプがなにか憲法違反を仕出かすか(自ら投げ出すなんてとんでもないこともあり得ない話ではないと思っているが)、米国内でテロが起きて、少なくとも一時的にトランプ寄りの支持が増すか、のどちらが早いかという問題だろう。そんなこんなで後は北朝鮮問題に飛び火しないことを祈るばかりだ。
トランプと金正恩がお互いに鞘当てを始めたら、もう目も当てられない。。。



だがもちろん、もっと情けないのは誰よりもいち早くこの男にすり寄った日本国首相という奴だ。
バカはバカを惹きつけるのか、人を見る目、そもそも知性がないとはこういうことなのか。

そんな首相を追い詰めることもできない野党も存在価値なんぞゼロだ。
もはや一時のブームは過ぎ去り、デモすらも起こらないとすれば、国民の存在価値なんぞも怪しいと言わざるを得ない。
それでも"日本が好きだ、日本は素晴らしい"という輩が無数に存在するのは、もうこの世の終わりかと思うばかりだ。

わたしの方でも正直、もうすっかり、こんなことばかり書くのにもうんざりしつつある。
この5月にはこの旅も10年を迎える。どうやらわたしの口を閉じる時期が近いのかも知れないと本気で考える。。。




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