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エクアドル不正選挙の行方  [Argentina 2017]

さて、Ecuador選挙について書き留めておきたい。
2017年2月19日、エクアドルで大統領選挙が行われた。
第一回投票結果では当選者が確定せず、来たる4月2日に第二回、決選投票が行われることになっている。

まずこの選挙が現大統領コレアによる代理選挙だということを挙げておきたい。
コレア大統領は2007年から現職にあるが、これまで憲法の再選規定と任期規定(2年を4年に)を改定して、2009年に再選(2年)、さらには2013年には4年任期として現職に留まり続けてきた。だが彼はさらに永代大統領としてエクアドルを支配したいと考えている。その為に彼は2014年10月31日無期限再選を憲法裁判所に認めさせたが、コレア自身の直接再選を規制する意図を持って、かろうじて憲法改正の承認は2017年5月24日とされた(絶対過半数を獲得するコレア派だが、野党の矛先を交わす目的で条件付けされた)。すなわち今回の選挙時においては無期限再選は適用されない。現規定では再選は一回だけだから、今回の大統領選挙に彼は出れない。従って彼は自身の代理としてレーニン・モレノを代理として立てた。そしてモレノの後任として再び、今度は無期限再選を手に2021年大統領職に返り咲こうという手筈だ。
だが偶然にも今回の代理選挙はコレアにとってとても重要な意味を持つこととなった。それはこれからの4年間がEcuadorにとってもっとも困難な解決不可能な状況に直面するからだ(最後の引き金は10年後の地震復興債の償還期限だが)。Ecuador国庫はもはや空だと想像されている。長引いた石油価格の低調によって外貨収入がなく、にも関わらずドル経済によるEcuadorは、ドル紙幣を印刷する度に、保有している金Goldを米国に支払わなければならない。さらにそうやって印刷した多くのドルが輸入によって米国へと流れてゆく。。。これは自国にとって二重の損失となるしかない。だからコレアはこの数年に渡って、輸入規制を強め、毎年輸入を削減規制してきた。
だがどうしたって、収入より支出の方が多くなるのは構造上止められない。金Goldを支払ってドルを印刷し、そのドルを米国に支払うのだ。どんな手があろうか!?
幸いにも石油価格はサウジの減産協力により上昇を始めたが、その後の価格は安定値にあり、かつての勢いはない。
もはやじり貧のEcuadorはこれからの4年間に最初の危機に直面する。だからコレアとしては、この4年間の失策を代理であるモレノの失策に押しつけることも不可能ではないということだ。普通なら国民はそんなものに騙されないと思うが、いやいや貧しいEcuador国民の認識はとてもそれを見破れるようなものではない。彼らのコレア人気は不動のものだ。中間層はようやく気付きつつあるが、それが今回の選挙の結果を左右することになるだろう。

だが2月19日に行われた大統領選挙では国民の前に暗雲が立ち込めた。。。
不正だ。
それもあまりにも大規模過ぎて、嘘じゃないかと思われるほどの不正選挙だった。
当日からFacebookに次々と信じられないようなコレア派の不正選挙の実態が写真つきでupされ続けた。
それはもう本当に俄かには信じがたいものばかりだった。

同一居住地で同姓同名の異なる顔の投票券が次々にFacebookにあげられてくる。(各地の選挙監視委員が不正を見つけてupしている様子)
なかには完全に未成年どころか、幼児の顔写真の生年月日は成人の投票券まで存在する。(※投票は写真入り身分証明書と投票券のふたつで可能となる)
各地で本来、投票者に届けられるべき投票券が大量に燃やされていたり、また投票後にまとめて焼却された残りの身分証明書(偽造)が発見されたりと、それがもしすべて真実だとしたら、とんでもないイカサマ選挙だったことになる。
ベネズエラ人がEcuadorの投票券と身分証を所持していた例もあった。
投票券だけでなく、写真入り身分証明書と写真入り投票券の両方を偽造しなければならない訳で、もちろん、国家の大々的関与なしには起こり得ない。

その結果を受けて、開票直後からEciadorでは連日、選挙管理委員会だったCNE前で大規模な市民の抗議のデモが続いた。
それは本当におぞましいくらいの、今でも半信半疑になるほどの大規模な不正選挙だった。

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だが、にも関わらず、左派モレノは38.68%、元銀行家の保守派ギジェルモ・ラッソは28.86%を獲得という結果だった。
だからもしも不正選挙がなければラッソが勝利していた可能性もなくはないと思われるほどだ。
※ちなみにエクアドルの法律では、第1回投票で勝利するためには、最低40%以上の有効票と2位の候補者に10%の差をつけなければならない。過半数の50%以上でも確定。

さて、開票結果を受けて、ことは4月2日に決選投票が行われることになった。。。
だが不正選挙は再び続けられるだろうことは間違いない。
これだけの規模の不正選挙が堂々と罷り通るならば、コレア派の勝利は絶対に動かない。
どんな対抗策もない。

国民は決選投票の結果を決して受け入れないだろう。。。
その時、Ecuadorはどう動くのか??


ちなみに破綻に直面するEcuador経済は、米ドル経済であるが故に、通常のデフォルトの形と少し様相が違ってくる。
もちろん、破産申し立てしかないが、負債によるというよりは金庫が空っぽであるというのが大きな原因となる。
IMFなどの支援を招く他ないが、過去の経緯からしてコレア派モレノは決してそれを受け入れないだろう。
となると、モレノには国家を中国に売り渡す他なくなる。米ドル経済からウォン経済への転換で、中国に国家に対して巨額投資してもらう手だ。
※ロシアはそんなことはしないだろう。
すでにジンバブエは中国ウォン経済国となっているから、あり得ない道ではない。

もしギジェルモ・ラッソが勝利してもEcuador経済が破綻している事実は変えようがない。けれど彼はきっとIMFなど国際金融機関の支援を求めるだろう。そして国内のガス価格という禁じ手を使うしかなくなる。
問題は寧ろその方がその後の2021年、再びコレアの再選を確実にするのではないかと思えることだったりする。

だから今回の選挙はどちらが勝っても、コレアは比較的無傷でいられる。
モレノが中国に頼ったら、それを非難し(わたしならもっとうまくやったと言うだろう)、ラッソがIMFなどに頼ってガス価格を上昇させたりすれば、それを非難するという手だ。
寧ろこれからの4年をコレアが担当していれば、それこそコレアの失墜を決定的なものにしたかもしれないと思えるほどだ。

コレアは最初の4-6年間ですべきことを、国民のとって必要なことをたくさんやり遂げた。。。
だがもはや彼にはどんなアイデアもないし、やたらと道路整備(公共工事)に注ぎ込んだ彼は石油価格の上昇に期待するという無策のまま国庫を空にしてしまった。。。Chavez時代に調子に乗って、米国と国際社会、取り分け、国際金融機関を完全に敵に回してしまった。。。
Chavez亡きあと、後ろ盾を失ったにも関わらず、体面にこだわって軌道修正の機会を逃してしまった。
彼には"ありがとう、コレア。そしてサヨウナラ"と言うべきなのだ。

石油価格の大幅な上昇はもはや見込めない。それはかつてのオイルショックがまるで冗談であったかのような、一向に減少の兆しを見せない原油埋蔵量に加え、シェールガス・エネルギーなど新しい形態の自然エネルギーの発見活用にもよっている。そもそも地球の寿命が45億年だとすれば、化石燃料と呼ばれた(現在では化石燃料ではないとされているが結局正体は分かっていない)原油がたかが100年や200年の使用で枯渇する程度であるはずもなかったのかも知れない。

無策で、外交拒否し、外貨不足から経済鎖国を選び、ただ原油価格の上昇を待つだけなのに、永遠に大統領の座(権力の座)に留まろうとする政治家などもはやEcuadorに必要でないことだけは確かなのだ。けれどコレア信奉者の耳目は閉ざされたままだ。何も現状を見ないし、知ろうとしない。

Gracias, Pres.Correa. Ahora adios!





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