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"投稿真実" (脱真実という誤訳) [Argentina 2017]

本当に書くべきことは尽きない。。。

最初に巷に出回っているテーブルマナーの図を見て欲しい。
きっとすでに見たことのある方もいるかも知れない。
わたしが初めてこういう図を見たのはもう随分前のことだ。
そして再び、目にしたのは先週の金曜日、Colombiaの一流ホテルのシェフである友人がシェアしていた。。。
 
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だが、これはデタラメだ。
どっかの誰かがイタズラか、悪意か分からないが、SNSを試そうとでもしたのか、フザケテ作った真っ赤な嘘のテーブルマナーだ。

けれどあっという間に、人々の間でシェアされて、もうほとんど真実に近くなりつつある。
たくさんのイラストや写真が多くの人たちによって作られ、配布されている。
一流ホテルのシェフがシェアしたりしたら、もうほとんどの人々がそれを信じてしまう。

どこかで止めなければならないと思い、下の図を作ってFacebookに載せてみた。
だが友人たちは"いいね"をつけたけれど結局誰もシェアしていない。
嘘の方が強いということだ。
本当にこれがいつか真実になる日が来るかも知れない。
まあ、たかがテーブルマナーだ。テーブルマナーくらい時と共に変化するものだ。
だが、こういうことは恐ろしいほど沢山、ネット世界に満ち溢れている。。。
それはどうでもいいとは決して言ってはいけない。
 
 etiqueta en.jpg


そんな中、下にリンクしたような記事が出た。。。
内容に問題があるのでここには全文は転載しないけれど、Linkを読んで頂くといい。

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“嘘のニュース”が世論をつくる? 米大統領選で注目集めた「脱真実」 THE PAGE 1月7日
 
 ドナルド・トランプ氏が1月20日にアメリカ大統領に正式就任する。そのトランプ氏が当選した昨秋の大統領選挙で一躍注目を集めたのが、不確定で誤解を意図的に招きやすい情報や明らかな偽ニュースが拡散していく「脱真実(post-truth)」と呼ばれる現象であった。ねつ造された情報がインターネットの保守系のサイトが取り上げることで注目され、それがソーシャルメディアを通じて一気に広がっていった。「脱真実」現象とその今後について考えてみたい(上智大学教授・前嶋和弘)

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...という記事だ。
記事の中身はわたしが上で危惧したようなことが起こりつつある現実をテーマにしている。
だが問題は別のところにある。。。

まず、多くの読む人の頭に、最初に引っ掛かるのは"脱真実"という言葉だろう。
"脱真実(post-truth)"

なんとなく違和感を感じる人もいるかも知れない。
わたしは違和感のあまり、読むのが止まってしまった。

おかしい。。。どこかおかしい。。。

post-truth ... なるほど、そうか?! 
よく我々は、ポスト安倍晋三だとか、ポスト・コルトレーンだとか言って、その後継者となる人のことを表現する。
その地位(post)を引き継いだり、或いは取って代わる者のことをpostという接頭辞をつけて呼ぶ。

この場合もそういう風に解釈されている。。。ん!?
"真実"の後を引き継いだり、"真実"に取って代わるような情報のことを"脱真実"と呼んでいいのか??
"ポスト原発"は確かに、原発に代わる燃料のことで"脱原発"と表現することもあるやもしれない。。。まあ、多分、"脱原発後"という言葉の方が正しい翻訳だとは思うが。

だが、そう考えても違和感は消えなかった。。。そして次の瞬間、違和感の正体に気づいた。

バカげてる!

ここで使われているpostは接頭辞のpostではない。
ここでいうpostは、もっと単純に郵便ポストのポスト、投稿されたという意味だ。
だから正しい翻訳は"脱真実"ではなく、単に"投稿真実"だ。

そう読み変えると違和感なく記事を読み進めることが出来る。
どうぞ、改めて"投稿真実"と置き換えてお読みください。
ここで最大の問題はこれが単なる翻訳ミスとして流してはいけないということにある。

ひとつはこのyahoo記事には例によって、270もの読者コメントがつけられている。
だがどれひとつとして"脱真実"の語に疑いの目を向けた者がいないという事実だ。
それどころか、皮肉にもこの記事で書かれているように"脱真実"という誤訳が、コメントの中に堂々と頻繁に使われている。
もはや簡単に"脱真実"という単語が市民権を得てしまったかのようだ。
これは本当にこの記事の内容と照らし合わせると喜劇のようだ。

誤訳がネットに拡散することで市民権を得て、定着することを実現してしまいそうなのだ。


しかも、だ。
この記事はただのジャーナリストによって書かれた(翻訳された)記事ではない。
これがただのジャーナリストの手になる翻訳なら、きっとわたしはスルーした。
けれど、これはスルーできない。
なぜなら、この記事を書いたのは、上智大学教授・前嶋和弘という人物だからだ。
マジでバカげてる!!

記事末に付記された略歴によると、

上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。
上智大学外国語学部英語学科卒業後,ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA),
メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)

とある。ホンモノの専門家だ。
ホンモノの専門家でなければならない。これはミスなんかじゃない。
ミスとは呼べない代物だ。
単に語学としての英語の専門家であるだけでなく、アメリカ現代政治の専門家だというのだ。
別のネット検索によると昭和40年生まれ、わたしの4つ下だ。最近の若者ではない。

申し訳ないが、本当に酷い。
誰か教えてあげてくれ。

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